少年事件と無罪
「せんせー」
街中を歩いていると、ずいぶん若い、しかし見覚えのある子に呼び止められました。
「覚えてないんですかー?」
・・・・・・思い出した。
かれこれもう何年も前、事件を担当したある少年だった。
10代の子の成長は早い。すっかり大人びていた。
その子の事件は、いろいろ活動した結果、無事、不処分(成人の刑事事件でいう無罪)で終わった。
その「いろいろ」が一気によみがえってきた。
「自分はやっていない」と言ったときのまっすぐなまなざし
めちゃくちゃ寒い日に言った現場検証
事務所で何度も何度も行った打ち合わせた
疲れ果てた少年が「自分がやったっていえば全部終わるんですか?」と投げやりになり、それをなだめたこと
不処分の審判が終わった後、満面の笑みで握手したこと・・・
弁護士として、全部の事件がうまくいくなんて保証はない。
けれど、頑張らなきゃうまくいかない
不処分というのは、ただ事件解決のみならず、少年自身の人生のために、誇りのためになるんだ
そんな当たり前のことを学んだ事件でした。
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